【平成24年度から社会福祉法人の会計基準が改正に】
2011/06/18
平成24年度から社会福祉法人の会計基準が改正になり、翌25年度にはすべての法人で完全移行されます。
これにより、事務処理の煩雑さが解消し、会計基準が簡素でわかりやすくなり、会計処理基準の一元化が図れるようになります。
★現行基準の問題点★
社会福祉法人の現行会計基準の適用範囲は社会福祉事業に限られています。
公益事業や収益事業は別に計算書類を作成しなければなりません。
すると、以下のような問題点が生じます。
・ 社会福祉事業であっても、病院、介護老人保健施設、授産施設などのように他に会計ルールがあるものについては、その会計ルールを適用し、別に計算書類を作成しなければならない
・ 介護保険事業にあっては、「指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針」との選択適用が認められているため、計算書類の様式だけでなく、計算処理結果が異なってくる
これらの問題点は、事務処理の煩雑さやミスを生むだけでなく、経営に有用な財務情報の提供や活用、情報の公開をも阻む要因となっています。
そこで、厚生労働省から、これらのさまざまな会計ルールを一元化し、社会福祉法人の全事業に適用する「新たな社会福祉法人会計基準」(以下「新会計基準」)が作成され、公表される運びとなりました。
★新会計基準作成の目的★
新会計基準作成の背景と目的とは以下の通りです。
1.会計ルール併存の解消による事務簡素化の要望
現在の社会福祉法人の会計処理は、さまざまな会計ルールが併存しており、事務処理が煩雑、計算処理結果が異なる等の問題が指摘されています。
2.社会経済状況の変化
社会福祉法人は、その取り巻く社会経済状況の変化を受け、一層効率的な法人経営が求められること、また、公的資金・寄附金等を受け入れていることから、経 営実態をより正確に反映した形で国民と寄付者に説明する責任があるため、事業の効率性に関する情報の充実や事業活動状況の透明性が求められています。
新会計基準の基本的な考え方は以下の通りです。
1. 社会福祉法人が行うすべての事業(社会福祉事業、公益事業、収益事業)を適用対象とすることで、事務の簡素化を図る
2. 法人全体の財務状況を明らかにし、経営分析が可能なものとするとともに、外部への情報公開も勘案している
3. 既存の社会福祉法人会計基準、指導指針、就労支援会計基準及びその他会計に係る関係通知、公益法人会計基準(平成20年4月)、企業会計原則等を参考にして作成する