本来の感情野が退化しはじめているということがおこっているのかもしれません。自分をよく見せようという意識が、感情の捏造に留まらず、モラルやマナーの低下を引き起こすのではないか、とわたしは危惧しています」
「悲しみという感情を失った人が、どういう『人』として、どんな行動をするのか、まったくわかりません。そこが怖いところです。悲しみを失った人たちだらけの世界に住みたいと思いますか? それは音楽のない世界でもあるのです。世の中エイプリルフールのごとく捏造された情報ばかりがはびこることにもなりかねませんね」
わたしたち人間は自分たちが思っている以上に「感情に影響を受ける動物」です。だから、「好きな人・尊敬する人・信頼している人」から何か指摘を受けたとき、みなさんはどう思いますか?…少なくとも、不快にはならない、むしろ素直に聴けるでしょう。
一方で、「あまり親しくない人・苦手な人」から指摘を受けた場合は「こっちの事情をよく知らないくせに、あなたには言われたくない」などと、反発したくなるかもしれません。